観るものと、生活の日記

「大阪パフォーマンス東京ドール」

宇宙レコード「大阪パフォーマンス東京ドール」
★★1/2


2005年11月13日17:00 於:blackchamber

作・演出:小林顕作

出演者: 西村たけお 小林顕作 中村たかし
ゲスト:ナイキ



(内容)



南港の造船所あとを利用した小さな劇場の柿落とし公演。全席自由席。ほぼ満員。お客さんは20代~30代前半くらいの女性が9割方。

スクリーンを下にしてライブ演奏をはじめる3人。小林さんがギター、中村さんがタンバリンと変なダンス、西村さんがドラム。音楽に合わせて弾むオープニング映像がカッコいい。

コント風の芝居、演奏、映像、パントマイム等の組み合わせ。1部と2部の間にお笑い系ユニット?ナイキのライブ。

(感想)

初めの方は、期待にたがわず面白くって「来てよかった~」と思わされました。 特に最初の「年金を払ってない宇宙人」のコントは1番楽しく、次いで「異様に早く動く人たち」「会社の噂話」へと関連もなくつながっていくのが、フシギな印象でよかったです。「早く動く」と「噂話」は中身自体は、そんなにたいしたこともない(笑)んですけど・・・家族や会社の人が昔ながらのありがちで。でもまとまりがあって滑らかに進んでいるので、見てて気持ちいいです。
後半になると段々、「ちょっとどうかなー」ってとこもあり。エンディング後のコントはだらだら~として、やや退屈ぎみでした。
前回の「レ」で、”意味や筋のない天真爛漫なお芝居をするところ”というイメージができたのですが、今回はけっこう暗めなところや、何らか込められた作者の思いが感じられることも多かった気がします。「レ」より3人、特に小林さんが疲れているようにみえました。
※各場面ごと

<近未来、宇宙人>
近未来、大気汚染で住めなくなった地球にかわる限りなく地球によく似た星の若者の話。 「俺、ヤング。ヤングスピリッツのヤング。"蒸留酒"って直訳したヤツ、勘にさわるぜ!」「俺はスイートマロン。"甘栗"って直訳したヤツ、勘にさわるぜ!」とか何とか過剰な動きつきでの台詞がおかしい。 彼らはまた空気を汚し適当に生きて地球と同じことを繰り返しているという設定。でもだからってどうなる訳でもない。息の合わないステップで動きが乱れてるのは、練習不足かな、と思ってしまったけど、 顔をしかめて一人去り、二人去り…するところみるとそういう演出だった模様。 残った西村さんが、延々と「年金も払わずに…」というフシギな節の歌を歌いながらぐるぐるまわってました。お笑いライブのコントと違って、オチがないまま次にいってもいいのが、お芝居の素敵なところだなぁと思います(笑)

<動きの速いひとたちに翻弄されるお父さんの休日のコント>
宇宙人はその後どうなったのか、わからないまま西村さんがどこかのお父さんに。 時代設定が、やや古い感じ。休日、少年野球を見物し、デパートの食堂にいき、帰宅すると妻と子どもがまっていて、夕食を食べて寝る…んだけど周りの人がみんな、超早動作、早口。お父さんと話す時はふつうなんだけど、離れるとやっぱりすごく早くなる…とかいうそれだけのコント。 小林さんと西村さんが2人で何役もやって、しかもすごいスピードで舞台を出たり入ったりするのが、大変そうでした。

「会社の噂話」

社内での噂話が、間違って伝わって、段々とんでもない方向に行く…というよくある話。出てくるサラリーマンやOLもステレオタイプ。だけどやっぱり3人で何役もして、噂の尾ひれのつきかたもフザけているため、楽しい感じになってました。

あと…なんだっけ。よく覚えてません(汗)順不同に。

「ノースリーブ」

ノースリーブを重ね着した3人がリズムをとりながら歌う。「最近売ってる服はこればっかり。ノースリーブ。20代まではノースリーブ。30代はタンクトップ。40代50代はランニング。高齢者は肌着。」と…。そうなんだ、とちょっとショック(苦笑)一応20代のはずが。呼び方変わるのってうっとうしいよねぇ。もう全部「袖なし」でいいやん(どんな感想)。


「映像&演奏」
静かなギター演奏つきで、おもちゃや人形などを使った映像。イライラしているレッカー車、怪獣の(?)コンパ、ウルトラマンの恋愛ドラマ等々。どれもバカバカしく、思わず失笑させられるしろものでした。


「生身マン」
これも面白かったです。「生身」と書かれたTシャツで「鍛え上げた生身の体で地球を守る、生身マン!」と現れた小林さん。小林さんてけっこう胴回りとか太いよなぁ、と思ってたが腕の筋肉からすると、鍛えてて太くみえるのだろーか。 金持ちの小学生が、気持ち悪い怪人(西村)に誘拐されかけて、すかさず現れた生身マン、助けようとするんだけど「えー変身しないの?そんなのヤダよぅ」と小学生に怒って帰られてしまう。変身はしないと誓っていたはずが、実家の母親に電話して「家に布はないか」ときいてしまうとき、「サテン?」とか言ってるのが笑えました。「確かに変身して強くてもずるいよね」とか思ってしまった私。


「僕らはみんな生きているのコント」
「僕らはみんな生きている」という前に「おけらって何」という素朴な疑問を元にした?コント。 「土をこやすぞー」と現れた巨大なみみず(中村)。ぷかぷか浮いてるだけのあめんぼ(西村)。正体不明のおけら(小林)。おけらがみみずを苛め、みみずとあめんぼはおけらを「おまえは誰だ」「こいつ事典にも載ってない」と攻撃し、互いにののしりあい、あめんぼは足をとられる、みみずはしっぽをとられる、やがて切り合いになってみんな死んでしまい、「僕らはみんな生きている、死にたくないから生きている、死に物狂いで生きている」とエンディング映像にあわせて歌が流れるという、なんとも暗い(笑)コントでした。(ちなみにおけらってのは、「虫ケラ」の語源になってるマイナーな昆虫のことだそうです)


「エンディング」

アングラ芝居の稽古をする役者芝居の男(中村)。単調な台詞回しに演出家(小林)は灰皿を投げつづける。そこへ長年演出家と苦節をともにした女優(西村)が現れ、演出家と一緒に見本をみせるものの、ついに役者志望は「こんな脚本はつまらない!」と本音を吐いて出て行こうとする…。

これは何だか??ダラダラダラダラと長くって、こう何がやりたいのか話が行きつ戻りつで、半端な気がしちゃいました。

「挨拶」
これまでハイテンションだったのに、急に静かでシャイな感じの役者さんたち。 芝居では大きな声の顕作さんも、疲れた小声で別人みたい。また中村さんが「それでは万歳三唱を」といったのに、やはり顕作さんに却下されてしまい叶いませんでした(笑)言ったらお客さんらやると思うんですけどね。

※その後
造船所跡をすこしうろうろ。広々として海もみえます。2階はカウンターバーをそなえたホワイエやギャラリーがあるとかで見物にいくと、カウンターに西村さんっぽい人を発見。待ってたら顕作さんらも見られたらしくって、ちょっともったいないことをしました(笑)

物販では前回と同じでパンフレットはなくて、ピンバッジやTシャツのみでした。今の季節Tシャツはちょっと寒いかも。

※スタッフさん

新加賀屋駅を出て「ここからどうやっていくんだっけー」と戸惑ってたら、チラシをもった人が近寄ってきて「ビラ配りの人だろう」と警戒したけど、そのビラが宇宙レコードのもの。「これを観られますか?」との言葉に「そうです!」と喜んじゃいました。分かりにくかろうと思ってか、劇場までの道を教えるために立っていたスタッフさんだったようです。お陰で迷わずにすみました。他のスタッフさんもみんな感じがよかったです。


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